EAをバックテストして評価する

自動売買ソフト(EA)を購入した、あるいはプログラミングでEAを開発したら、そのEAを評価するためにバックテストをします。では、出てきたレポートはどこを見ればいいのか、注意点はあるのでしょうか。

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EAの評価

 

EAのバックテストのやり方は こちら にありますが、結果が出たところでどう評価すればいいのでしょう。

簡単には、グラフが右肩上がりで最終的に利益が出ていればOKとも言えます。しかし、その他のポイントも押さえて、利益になるEAなのかどうかを判断しましょう。

※2026年10月時点の情報に更新しています。

 

バックテストの結果

評価の例として、EA販売の老舗GogoJungle(ゴゴジャン)から、長く販売されているEAを選んでみます。GogoJungleでは販売中のEAをデモ口座でフォワードテストしていて、その成績を公開しています。

下のグラフは、横軸がフォワードテストの稼働期間、縦軸がリアル口座での過去1か月の稼働率です。右側に行くほど古いEAで、上に行くほど購入者が今も使っていることになります。今も使われているのは、おそらく利益が出ているからと推測できます。

Ref: GogoJungle

GogoJungle「リアル口座 EA稼働率(過去1か月)」2022年1月時点

当時、稼働7年で稼働率30%ほどだった「Iam Clown FX(赤)」(米ドル/円、5分足、2015年1月販売開始)のバックテストを見てみます。


Iam Clown FX(赤) のバックテスト(Dukascopy-demo、0.1ロット、初期証拠金100万円)

Strategy Tester Report の見方

① 期間:

5分足(M5) 2005.01.03 00:00 – 2021.12.30 23:55 (2005.01.01 – 2021.12.31)

  • 17年間ほどの期間をテストしています。
  • 数年程度の短いテストしか公開されていない場合は、長期では結果が悪いのではと疑ってみましょう。
② モデル:「全ティック」(最も正確な方法)でテストしていることが確認できます。
③ 純益:最終的な損益。なんと言っても、この純益がプラスかマイナスかが重要です。
  • 総利益 − 総損失 = 純益(2,883,739.52 − 2,269,080.21 = 614,659.31円)

④ プロフィットファクタ:

総利益 ÷ 総損失。PFと呼ばれ、EAの能力が出ます。

  • 2,883,739.52 ÷ |−2,269,080.21| ≒ 1.27
  • 1.0未満は損失で終わっていることになります(1.0ちょうどで損益ゼロ)。長期間で PF 1.5 あればまあまあですが、あまり大きすぎる場合は過去データに合わせすぎていることもあるので、他のポイントも注意深く確認しましょう。

⑤ 期待利得:

純益 ÷ 総取引数。1回のエントリーあたりに期待できる利益です。

  • 614,659.31 ÷ 3,610 ≒ 170.27
  • 1回あたり約170円の利益を期待できます。
⑥ 最大ドローダウン:残高の高値から次の安値までの下落のうち、金額が最大のもの。重要なファクターです。
  • 49,141円(3.43%)
  • たまたまEAの開始がこの高値と同じタイミングであれば、初期資金からこの金額だけ減ることになります。
  • このEA(0.1ロット)では、49,141円以下の証拠金だとすぐに口座が溶けてしまうので、この損失に耐えられる証拠金が必要です。
  • 逆に証拠金を増やせば比率は下がります。できれば10%以下、悪くても20%は超えないようにしたいところです。
絶対ドローダウン:初期証拠金をどれだけ下回ったか(金額)
  • この例では20,095円。EAを開始するタイミング次第の数字なので、参考にする程度です。
相対ドローダウン:残高の高値から次の安値までの下落のうち、率(%)が最大のもの
  • この例では3.80%(45,828円)。最大ドローダウン(金額が最大、3.43%)とは別の時期の下落です。
  • 残高が少ない時期の下落は、金額は小さくても率は大きくなります。最大ドローダウンと同じになることもありますが、率が大きい場合はこちらを重視しましょう。
⑦ 総取引数:取引回数の合計
  • PFや純益が良くても、年に1回の取引では普通には使えません。取引数が少ないと、結果がたまたまなのかどうかも判断しにくくなります。
⑧ 勝率:売りと買いをまとめた勝率(この例では68.61%)
  • 純益やPFが良くても勝率が低いと、連敗に我慢が必要になるかもしれません。
⑨ モデリング品質:ヒストリカルデータの品質
  • MT4の無料のヒストリカルデータでは、5分足以上で最大90%、1分足では25%にしかなりません。有料のティックデータ(Tick Data Suite など)を使うと99%台になります。この例は99.90%です。
⑩ スプレッド:テストで使ったAskとBidのスプレッド幅
  • この例は「変動」で、ティックデータの実際のスプレッドを使っています。無料データでは固定値になるので、実際に使う業者より広め(例えば20ポイント=2pips)でもテストしておくと安心です。
⑪ 損益グラフ:残高をグラフ化したもの
  • 横軸は取引番号順なので、時間の間隔が一定とは限りません。
⑫ 結果:全トレードの履歴
  • 疑問点があれば細かく調べられます。

MT5のストラテジーテスターでも、名称は少し違いますが(総純利益、残高ドローダウン最大 など)同じような項目でレポートが出ます。

 

バックテストの評価

バックテストを総合的に評価してみると、

  • 17年間で約61万5千円の利益、年間で約3.6万円です。GogoJungleの推奨証拠金(2026年10月時点で約21.8万円)で割ると、年率16%程度になります。
  • 取引は年間210回程度なので、週5日で考えると1日1回弱のエントリーです。
  • PFは1.27と少なめです。
  • 最大ドローダウンが約4.9万円あるので、平均的なペースでも損失の底からの回復に1年以上(約1年4か月)かかります。損益カーブを見ても、利益にならない期間が年単位で起こりえます。

ただし重要なこととして、バックテストがカーブフィッティングになっていて、実際のリアル口座では全く利益が出ないEAもあります。そこで、バックテストとフォワードテストを比べてみます。

 

フォワードテストとの比較

Iam Clown FX(赤) は2026年10月時点でも販売中(29,800円)で、GogoJungleのフォワードテスト(外為ファイネストのデモ口座、0.1ロット)は約11年になります。バックテストと並べると次のとおりです。

項目 バックテスト
(2005〜2021年)
フォワード
(2015年〜2026年10月)
期間 約17年 約11年9か月
純益 614,659円 244,566円
1年あたりの利益 約3.6万円 約2.1万円
プロフィットファクター 1.27 1.12
勝率 68.61% 65.72%
最大ドローダウン 49,141円(3.43%) 77,376円(15.19%)
総取引数 3,610回 3,002回
フォワードはGogoJungleの公開値(2026年10月15日時点)。最大ドローダウンの%はGogoJungleの計算方法による

フォワードテストでも利益は出ていますが、1年あたりの利益・PFともにバックテストより控えめで、最大ドローダウンはバックテストの約1.6倍になっています。推奨証拠金に対する年率で見ても、バックテストの16%程度に対してフォワードは9〜10%程度です。

バックテストとフォワードで差が出る理由には、

  • 業者ごとのスプレッド・約定(スリッページ)の違い
  • 相場の変化(ボラティリティや値動きの癖が変わる)
  • バックテストの期間にパラメータが合いすぎている(カーブフィッティング)

などがあります。バックテストの数字はそのまま期待せず、フォワードテストの成績と比べて、控えめに見積もっておくのが安全です。

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Iam Clown FX(赤) | GogoJungle

 

カーブフィッティング:
パラメータを過去データに合わせて過度に最適化した結果、その過去データ以外では利益が出なくなってしまうこと。過剰最適化とも言います。

パラメータの最適化のやり方と注意点はこちらです。

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