ダウ理論で見極めるトレンド転換

ダウ理論ではトレンドの定義として「トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続する」とされていますが、その「明確な転換シグナル」とは具体的に何を指すのでしょうか。

今回は、押し安値・戻り高値による基本的な転換シグナルの見方と、それだけでは判断しにくいケースへの対処法として「フェイラー・スイング」「ノンフェイラー・スイング」という考え方を紹介します。

FXチャート分析のイメージ

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明確な転換シグナル

ダウ理論では、高値・安値が切り上げ(あるいは切り下げ)を繰り返している間は、そのトレンドが継続しているとされています。

上昇トレンドと下降トレンドにおける高値・安値の切り上げ/切り下げのイメージ

トレンド転換を単純に言えば、高値・安値の切り上げから切り下げへ(あるいはその逆へ)変わることです。この変化は、押し安値戻り高値を基準にして確認できます。以下は、その基本的な考え方(後述する「ノンフェイラー・スイング」に相当する見方です)の説明です。

押し安値を下回る下降転換と戻り高値を上回る上昇転換のイメージ

下降へのトレンド転換:

上昇トレンド中に付けた「押し安値」を価格が下回ると、上昇トレンドが崩れます。その後、安値・高値がさらに切り下がり、直前の安値も超えて下落したA地点で、明確なトレンド転換が起きたと判断します。

上昇へのトレンド転換:

同様に、下降トレンド中に付けた「戻り高値」を価格が上回ると、下降トレンドが崩れます。その後、高値・安値がさらに切り上がり、直前の高値も超えて上昇したB地点で、明確なトレンド転換が起きたと判断します。

ここまでは教科書的な説明ですが、実際の相場ではこれほど単純にいかないケースが多々あります。

トレンド転換を捉えにくいケース

高値・安値が分かりにくい:

例えば、次のようなケースでは、直近の高値ピークより前の高値・安値がはっきりせず、どこを基準にすればよいか判定しづらくなります。

2013年3月 EURJPY H4EURJPY4時間足チャートで高値・安値の判定が難しい例

これは4時間足のチャートですが、1時間足まで下位足に落として見てみると状況が変わります。ZigZagのDepthをデフォルトの12に設定して高値・安値を確認すると、「押し安値」自体は比較的早い段階で現れていることがわかります。

2013年3月 EURJPY H11時間足でZigZagのDepthを12に設定し押し安値を確認した例

ただし、この1時間足で見た高値・安値をそのまま4時間足の分析に流用するのには無理があります。1時間足の水準を基準にするなら、それに合わせて1時間足でのトレードに切り替えることになり、トレード方針そのものが変わってきてしまいます。

明確なシグナルは遅い:

押し安値・戻り高値を明確に超えるのを待っていると、トレードチャンスを逃してしまうことがあります。また、上昇でも下降でもないと判断される「空白期間」が長くなりやすいという問題もあります。

2013年1月 EURJPY H4押し安値・戻り高値の明確な突破を待つことで生じる判断の空白期間の例

フェイラー・スイング

Failure Swing(フェイラー・スイング)は、ダウ理論の教科書的な転換シグナルよりも早い段階でトレンド転換と判断する考え方です。

下の図で言えば、高値Cが直前の高値Aを超えられず「高値更新に失敗」した状態のまま、安値Bを下回って下落したポイントS①を、トレンド転換のサインとみなします。

フェイラー・スイング:高値Cが高値Aを超えられず安値Bを下回るS①のイメージ

上昇トレンドの構造そのものが崩れている(=高値更新に失敗している)と捉え、押し安値を下回るのを待つよりも前に、下降トレンドへの転換が始まったとみなす考え方です。押し安値の水準が遠い場合や、そもそもはっきりしない場合には、このフェイラー・スイングの考え方を使うとうまくいくことが多いかもしれません。

ノンフェイラー・スイング

Non-failure Swing(ノンフェイラー・スイング)は、押し安値(あるいは戻り高値)を明確に下回って(上回って)トレンド転換が確定したポイント、下の図のS③を転換シグナルとする、より保守的で確実性の高い考え方です。

ノンフェイラー・スイング:押し安値を割るS②とその後の安値Bを割るS③のイメージ

図をよく見ると、高値Aから下落する過程で、すでにS②の時点で元の押し安値の水準を下回っていることがわかります。この場合、正式な確定シグナルであるS③を待たなくても、S②の時点でトレンド転換とみなすという判断もできます。もちろん、その後の反発でこの見方が否定される(=ダマシに終わる)こともありますが、トレンド転換の初動を早めに捉えられる可能性があります。

現実的には、S③のような最終確定シグナルを待っていては遅すぎるため、高値Cのような戻り高値の失敗を確認したうえで、何らかのチャートパターンを手がかりに売りエントリーを試みることが多いと思われます。

参考:The failure swing pattern(hercules.finance)

ダウ理論を用いた過去検証の例

実際のチャートでこうしたトレンド転換の考え方を使った検証例として、こちらもあわせてご覧ください。
https://fx-ai-trading.com/past-verification/gbpusd-001.html

まとめ

  • 教科書的な転換シグナルは、押し安値(戻り高値)を明確に下回る(上回る)ことで確定する(=ノンフェイラー・スイングのS③)
  • ただし、高値・安値の判定が難しいケースや、確定を待つと機会損失が大きいケースが実際には多い
  • フェイラー・スイングは、高値更新の失敗を根拠に、押し安値割れを待たずより早く転換を判断する考え方
  • ノンフェイラー・スイングの中でも、S②のように押し安値を割った時点をより早い転換サインとして使う見方もある
  • どの考え方にも「ダマシ」のリスクはあるため、時間軸や他のチャートパターンと組み合わせて判断することが実践的

押し安値・戻り高値によるシンプルな判断だけでなく、フェイラー・スイングやノンフェイラー・スイングといった視点を持っておくと、トレンド転換の初動をより柔軟に捉えられるようになります。まずは自分がよく見る時間軸のチャートで、実際にS①・S②・S③がどこに来るかを確認してみてください。

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