日経225と米ドル円の相関性をチャートで比較

「円安になると日経平均が上がる」――日経225と米ドル円(USDJPY)には相関がある、とよく言われます。もっともらしい理由もありますが、本当に今もそうなのでしょうか。TradingView の比較チャートを使って、自分の目で確かめてみましょう。

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週足での日経225とUSDJPYの比較です。コロナ禍以前はそれなりに連動しているように見えますが、2020年以降はどうも様子が違うように見えます。

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日経225と米ドル円

先に結論をまとめると、次のとおりです。

  • 2013年のアベノミクス開始から2019年ごろまでは、「円安=株高」の連動がはっきり見られた
  • 2020年のコロナショック以降は連動が弱まり、「円安なのに株安」「為替は横ばいなのに株高」という年も珍しくない
  • 最近の日経平均は、為替よりも米国株、とくに半導体株との連動が強まっている

「円安=株高」と言われる理由

日経225と米ドル円が連動する理由として、一般的には次の2つが挙げられます。

1. 輸出企業の業績が良くなる
円安になると、輸出企業は同じ数量を売っても円に換算した売上・利益が増えます。海外子会社の利益も円換算で膨らみます。業績が良くなると期待されて株が買われ、日経225が上がる、という流れです。日経225は採用銘柄の約6割が製造業で、円安の恩恵を受けやすい構成になっています。

一方で、輸入企業にとって円安は仕入れコストの上昇(減益要因)です。日本は原油を大量に輸入しているため、円安は輸送費や電気代を通じて多くの業種のコストを押し上げます(業績に表れるまでには数か月の遅れがあります)。指数全体としてどちらの影響が大きく出るかは、採用銘柄の構成しだいということになります。

ちなみに日本株の指数にはTOPIXやJPX日経インデックス400などもありますが、ニュースで毎日取り上げられ、先物の取引も多い日経225が、為替との関係を語るときの代表になっています。

2. 海外投資家の「日本株買い+ドル円買い」
海外の投資家が日本株を買うときは、まずドルを売って円を買い、その円で日本株を買います。このとき円が安くなると、ドルに換算した株の価値が目減りしてしまいます。そこで、円安のリスクを打ち消すために、あわせてドル円の買いポジションを持つ(為替ヘッジ)ことがあります。

こうして「日本株買い」と「ドル円買い」が同時に起き、売るときはその逆が起きるため、両者が同じ方向に動きやすくなる、という説明です。

実際に月足で見てみると、2016年ごろまでは非常によく連動しているのが分かります。その後も、大まかな方向は同じと言えなくもありません。

2020年以降、相関はどう変わったか

日足で見ると、2020年3月のパンデミック以降は、むしろ逆の動きをしている期間も目立ちます。

年単位の値動きを並べると、「円安=株高」に当てはまらない年が意外に多いことが分かります。

年 米ドル円 日経平均 組み合わせ
2013年 約19円の円安 +57% 円安・株高
(アベノミクス元年)
2017年 約4円の円高 +19% 円高・株高
2020年 約5円の円高 +16% 円高・株高
(コロナ禍の金融緩和)
2022年 約16円の円安 -9.4% 円安・株安
(米国の急速な利上げ)
2025年 157円→156円
(ほぼ横ばい)
+26% 為替は横ばい・株高

※ドル円・日経平均は年間の変化。第一ライフ資産運用経済研究所のレポート(2026年2月3日)の数値をもとに作成。同レポートでは、1995年以降の年ごとの為替と株価の関係は、ほぼ無相関という結果になっています。

週ごとの値動きで分析した例もあります。SBI証券のレポート(2026年7月21日)によると、2007年〜2026年7月の全期間では「ドル円が1%動くと日経平均は平均して約0.91%動く」という関係が見られたものの、ドル円だけで説明できる部分は小さい(決定係数0.17)という結果でした。

年ごとに見ると、2012年〜2019年は「ドル円が1円動くと日経平均が約150〜330円動く」という、投資家の感覚に近い関係がありました。ところが2020年〜2024年は統計的に意味のある関係が見られなくなり、例外は2025年(トランプ関税ショックでの円高・株安と、高市政権発足後の円安・株高)だけでした。2026年に入ってからは、日経平均と関係がはっきり確認できたのは米国の半導体株指数(SOX指数)だけだったとしています。値がさの半導体関連株が日経225を大きく動かすようになり、「為替より半導体」の指数になりつつある、ということです。

つまり「円安=株高」は、2012年〜2019年にはある程度データの裏付けがあったものの、いつでも成り立つ法則ではなく、あくまで目安と考えておくのが無難です。FXでドル円を取引するときも、日経平均の動きだけを根拠にするのは避け、そのときどきの相関を自分で確かめることが大切です。

Reference: 「円安=株高の法則」はどうなった?(SBI証券)
Reference: 円安・株高を巡る謎 為替と株価の微妙な関係(第一ライフ資産運用経済研究所)

TradingViewでのシンボル比較の作り方

TradingViewを使って、日経225と米ドル円のチャートを重ねてみましょう。日経225のチャートはいくつかありますが、ここでは大阪取引所(OSE)の日経225先物(NK225 1!)を使います。

TradingViewで日経225先物(OSE)のチャートを表示したところ

手順1:比較するシンボルを追加する
チャート上部のシンボル名の右にある「⊕」(シンボルを比較)アイコンをクリックすると、「シンボルを比較」のダイアログが表示されます。「USDJPY」と入力し、候補にカーソルを合わせて表示される比較方法から「新しい価格スケール」を選びます。

シンボルを比較ダイアログでUSDJPYを検索し、新しい価格スケールを選ぶ

比較方法は3種類あります。

  • 同じ%スケール:チャートの左端を0%として、2つの銘柄の変化率(%)を同じ目盛りで比べる
  • 新しい価格スケール:比較する銘柄に専用の価格目盛りを付けて、メインチャートに重ねる
  • 新規ペイン:比較する銘柄をメインチャートの下に別のチャートとして表示する

日経225(数万円)と米ドル円(百数十円)は価格の桁がまったく違うので、それぞれの目盛りで重ねられる「新しい価格スケール」が見やすくおすすめです。

手順2:価格スケールの位置をそろえる
追加した「USDJPY」の右端にある「…」(その他)アイコンから「スケールに固定」を開き、「スケールAに固定する」を選びます。これで米ドル円の目盛りが日経225と同じ右側に並びます。

USDJPYのその他メニューからスケールAに固定するを選ぶ

これで2つのチャートが重なりました。価格の縦軸はそれぞれ独立しているので、値動きの方向が同じか、逆かを見比べることができます。

日経225先物とUSDJPYを重ねたチャート(2022年1月〜6月)

このチャートは2022年1月〜6月の日足です。米ドル円(オレンジ)は114円台から135円近くまで円安が進んでいるのに、日経225先物(青)は下落しており、「円安=株高」とは逆の動きになっているのが分かります。

比較をやめたいときは、チャート上に表示されている比較銘柄名(USDJPY)にカーソルを合わせ、表示される「×」(削除)をクリックします。

相関係数(CC)インジケーターで数値で確かめる

チャートを重ねるだけでは「なんとなく似ている」程度しか分かりません。TradingViewには、2つの銘柄の相関の強さを数値で表示する「CC(相関係数)」というインジケーターがあります。

  1. 日経225のチャートを開き、上部の「インジケーター」をクリック
  2. 検索欄に「相関係数」と入力し、「CC(相関係数)」を選ぶ
  3. 比較するシンボルとして「USDJPY」を選ぶ
  4. チャートの下に相関係数のグラフが表示される。設定画面で計算期間を変えられる

相関係数は-1から+1までの値で、+1に近いほど同じ方向に動き(正の相関)、-1に近いほど逆方向に動き(負の相関)、0に近いほど関係が薄いことを表します。期間を長くすると長期的な関係、短くすると最近の関係が分かります。

前の章で見たとおり、日経225と米ドル円の相関の強さは時期によって大きく変わります。「相関がある」と決めつけず、今の相関がどうなっているかを確かめてから取引の判断材料にするとよいでしょう。

Reference: TradingViewのCC(相関係数)インジケーターの設定方法(OANDA証券)

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