2022年秋の介入から1年半後の2024年、ドル円は34年ぶりの160円台、さらに約38年ぶりの161円台まで円安が進み、政府・日銀は2つの時期に計4日の円買い介入を行いました。
2022年の介入については、こちらの記事で検証しています↓
この記事では、2024年の円買い介入を財務省の公表データをもとに振り返り、効果はあったのかを整理します。

1. 為替介入のしくみ
2. 2024年の介入一覧
3. 4月29日・5月1日:ゴールデンウィークの介入
4. 7月11日・12日:米CPI発表に合わせた介入
5. 8月:流れを変えたのは日銀の利上げ
6. 2024年の介入に効果はあったのか
為替介入のしくみ
為替介入(正式には「外国為替平衡操作」)は、次の流れで行われます。
- 財務大臣が、介入するかどうか、いつ・いくら行うかを判断する
- 日本銀行が、財務省の代理として外国為替市場で売買を実行する
- 円安を止める「円買い介入」では、財務省所管の外国為替資金特別会計(外為特会)が持つ外貨準備の米ドルを売って、円を買う
円売り介入なら円を調達すればよいので資金の制約はほとんどありませんが、円買い介入は手持ちの米ドルが尽きればそれ以上はできません。そのため市場は、「あとどれだけ介入できるか」を常に意識しています。
2024年の介入一覧
財務省の公表データと、当時の報道によるドル円の水準をまとめると、次のようになります。
| 日付 | 介入額 | ドル円(介入前→後) | 値幅 |
| 4/29(祝) | 5兆9,185億円 | 160円台 → 154円台 | 約6円 |
| 5/1(FOMC後) | 3兆8,700億円 | 157円台 → 153円台 | 約4円 |
| 7/11(米CPI後) | 3兆1,678億円 | 161円台 → 157円44銭 | 4円強 |
| 7/12 | 2兆3,670億円 | 159円台半ば → 157円台 | 約1.5円 |
| 合計 | 15兆3,233億円 |
※ドル円の水準は報道・チャートからの概算です。介入額は財務省の公表値。
Reference: 外国為替平衡操作の実施状況(財務省)
4月29日・5月1日:ゴールデンウィークの介入
2024年4月29日(昭和の日)、日本の祝日で市場参加者が少ない中、ドル円は1990年以来、約34年ぶりに1ドル160円台をつけました。
その直後に円が急騰し、数時間で154円台まで6円近い円高に。さらに5月1日の米FOMC後、日本時間では5月2日の早朝に157円台から153円台へと、1時間ほどで約4円の円高が起きました(財務省の公表上の日付は5月1日)。
当時の神田財務官は介入の有無についてコメントしませんでしたが、5月末の財務省の公表で、4月29日に5兆9,185億円、5月1日に3兆8,700億円、計9兆7,885億円の介入が行われていたことがわかりました。
7月11日・12日:米CPI発表に合わせた介入
その後も円安は止まらず、7月上旬には161円台後半と約38年ぶりの円安水準になりました。
7月11日の日本時間21時半、米国の6月CPIが予想を下回ってドル売りが出たタイミングで円が急騰し、約30分で4円強の円高(157円44銭)に。翌12日朝にもユーロ円の「レートチェック」が報じられ、159円台半ばから157円台へと円高が進みました。
介入額は11日が3兆1,678億円、12日が2兆3,670億円、計5兆5,348億円。指標発表で相場が円高に動いたところに乗せる、効率を重視した介入だったと言われています。
8月:流れを変えたのは日銀の利上げ
円安の流れが本格的に変わったのは、介入ではなく金融政策でした。
日銀が7月31日に政策金利を0.25%に引き上げ、米国の利下げ観測も強まったことで、円を借りて高金利通貨で運用する「円キャリートレード」の巻き戻しが起き、8月上旬には一時141円台まで急激な円高が進みました。
2024年の介入に効果はあったのか
2024年の4日間の介入は、どれも数時間〜1日で4〜6円程度の円高を生み、160円を超えて円安が加速するのを止める「時間稼ぎ」にはなりました。
ただ、4〜5月の介入のあとも円安は進み、7月には161円台と、かえって介入前より円安になっています。
円安の流れを実際に変えたのは、日銀の利上げと米国の利下げ観測という「金利の見通しの変化」でした。これは2022年11月に米CPIの鈍化で円高に転じたときと同じパターンです。
この後、2026年にはさらに大規模な介入と、28年ぶりの日米協調介入が行われています↓

























