2026年は、4〜5月の大型連休中に1日あたり過去最大の円買い介入が行われ、7月末には1998年以来28年ぶりとなる日米協調介入にまで発展しました。
2022年・2024年の介入については、こちらの記事で振り返っています↓

1. 為替介入のしくみ
2. 2026年の介入一覧
3. 4月30日〜5月6日:1日あたり過去最大の介入
4. 7月30日〜8月:28年ぶりの日米協調介入
5. 2026年の介入に効果はあったのか
6. FXトレーダーが気をつけること
為替介入のしくみ
為替介入(正式には「外国為替平衡操作」)は、次の流れで行われます。
- 財務大臣が、介入するかどうか、いつ・いくら行うかを判断する
- 日本銀行が、財務省の代理として外国為替市場で売買を実行する
- 円安を止める「円買い介入」では、財務省所管の外国為替資金特別会計(外為特会)が持つ外貨準備の米ドルを売って、円を買う
円売り介入なら円を調達すればよいので資金の制約はほとんどありませんが、円買い介入は手持ちの米ドルが尽きればそれ以上はできません。そのため市場は、「あとどれだけ介入できるか」を常に意識しています。
外貨準備は2026年9月末で約1兆1,784億ドル。2026年8月には介入による取り崩しで前月比6.18%減と、比較可能な2000年以降で最大の減少率になりました。
Reference: 外貨準備等の状況(令和8年9月末)
2026年の介入一覧
財務省の公表データと、報道によるドル円の水準をまとめると、次のようになります(2026年10月16日時点)。
| 日付 | 介入額 | ドル円(介入前→後) | 値幅 |
| 4/30 | 6兆2,787億円 | 160円72銭 → 155円台半ば | 約5円 |
| 5/4 | 7,802億円 | - | - |
| 5/6 | 4兆6,759億円 | - | - |
| 7/30〜8/26(月次) | 15兆3,993億円 | 164円近辺 → 155円21銭(8/3) | 約9円 |
| 合計 | 27兆1,342億円 |
※7〜8月分は月次の公表額。日ごとの内訳は四半期ごとの公表(11月上旬予定)で確定します。ドル円の水準は報道・チャートからの概算です。
2022年・2024年と比べると、介入の規模は回を追うごとに大きくなっています。
| 年 | 介入した日 | 合計額 | 最も円安だった水準 |
| 2022年 | 9/22、10/21、10/24 | 約9.2兆円 | 151円94銭 |
| 2024年 | 4/29、5/1、7/11、7/12 | 約15.3兆円 | 161円台後半 |
| 2026年 | 4/30、5/4、5/6、7/30〜8月 | 約27.1兆円 | 164円近辺 |
Reference: 外国為替平衡操作の実施状況(財務省)
4月30日〜5月6日:1日あたり過去最大の介入
2025年は介入がありませんでしたが、2026年に入ると再び円安が進みます。
4月28日の日銀会合で利上げが見送られると円売りが強まり、4月30日には一時160円70銭台まで円安が進みました。
片山財務大臣や三村財務官が「最後の警告」ともいえる強い言葉で介入を予告した直後に円が急騰し、155円台半ばまで押し戻されています。
財務省の公表では、4月30日に6兆2,787億円、5月4日に7,802億円、5月6日に4兆6,759億円、計11兆7,349億円。4月30日の額は、2024年4月29日を上回る1日あたりの過去最大でした。
7月30日〜8月:28年ぶりの日米協調介入
6月に日銀が政策金利を1.0%に引き上げても円安は止まらず、7月初めには162円台と約39年半ぶりの水準に。月末には164円近辺まで円安が進みました。
7月30日夜、日本の通貨当局が円買い介入を実施したとみられ、ドル円は163円前後から158円程度まで急落。米国時間にはニューヨーク連銀がレートチェックを行ったと報じられました。
そして米国東部時間の7月31日(金)、日本の財務省は米財務省と協調して円買い介入を実施しました。日米協調の円買い介入は1998年6月以来、28年ぶりです(米国側はユーロ売り・円買いで介入したとみられています)。
これまでは「円を売る投機筋」対「日本の通貨当局」という構図でしたが、今回は米国も円を買う側に加わった、という点が大きな違いです。
片山財務大臣は8月3日の談話で、2025年9月の日米財務大臣共同声明に基づき、円相場の行き過ぎた変動に対処したと説明し、さらなる協調介入もためらわない姿勢を示しました。また、米連邦準備制度の「FIMAレポ・ファシリティ」(米国債を担保にドル資金を借りる制度)を活用する予定であることにも触れています。米国債を売らずにドルを用意できれば、介入の余力が増えることになります。
8月3日には一時155円21銭まで円高が進み、7月30日〜8月26日の介入額は15兆3,993億円と、月次の公表額として過去最大になりました。
Reference: 片山財務大臣談話(令和8年8月3日)
2026年の介入に効果はあったのか
2026年の介入は、4月30日に約5円、7月末〜8月の日米協調介入では約9円の円高を生み、2022年・2024年より大きな値幅になりました。
それでも、日米協調介入のあと9月には157円台、10月中旬には158円前後まで円安方向に戻っています。
日銀は2026年9月18日に政策金利を1.25%へ引き上げましたが、それでも日米の金利差は大きく、財政への懸念や原油高による貿易収支の悪化も円安要因として意識されています。
2022年・2024年と同じく、介入は「急激な円安を止める時間稼ぎ」としては効果がありますが、トレンドそのものを変えるには、金利の見通しの変化が必要というのが現時点での結果です。
FXトレーダーが気をつけること
介入はFXのポジションに大きな影響を与えます。これまでの傾向から、次の点に注意しておくとよいでしょう。
- タイミング:祝日や連休中(2024年4月29日、2026年のGW)、米指標の発表直後(2024年7月11日)など、市場参加者が少ないときや、相場が円高に動きやすいときに行われることが多い
- 前兆:財務大臣・財務官の発言が「あらゆる手段を排除しない」→「断固たる措置」のように強くなる口先介入や、レートチェックの報道は介入が近いサイン
- 値動きの大きさ:1時間で4〜5円動くことがあり、スプレッドの拡大や約定のすべりで、思わぬ価格でストップロスやロスカットにかかることがある
- レバレッジ:ドル円の買いポジションを大きく持っている場合は、実効レバレッジを下げておくと安心
- 公表のタイミング:介入の有無は月末に月次の合計額、四半期ごとに日ごとの内訳が財務省から公表される
レバレッジの考え方は、こちらの記事も参考にしてください↓

























