FX 主要通貨の強弱を見極める

いま、どの通貨が強くて、どの通貨が弱いのか。これが分かれば「強い通貨を買って、弱い通貨を売る」という組み合わせを選びやすくなり、効率よくトレードできます。

この記事では、TradingViewで主要通貨をUSD(米ドル)基準でひとつのチャートに重ねて比べる方法と、通貨そのものの強さを表す通貨インデックスの見方を紹介します。

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各通貨の強弱を比べる

通貨の強弱は、通貨インデックスをひとつずつ調べても分かりますが、もっと手軽なのが米ドルを基準にして各通貨を並べる方法です。

USDベースで比較する方法

TradingViewでチャートを重ねて比べる基本的なやり方は、こちらの記事で説明しています。

「円安になると日経平均が上がる」――日経225と米ドル円(USDJPY)には相関がある、とよく言われます。もっともらしい理由もありますが、本...

各通貨をUSD基準で並べるには、通貨ペアの中でUSDが置かれている側をそろえる必要があります。

  • EURUSD、GBPUSD、AUDUSD、NZDUSD … USDが後ろ(決済通貨)
  • USDJPY、USDCHF、USDCAD … USDが前(基軸通貨)

そこで、USDが前にある通貨ペアは「1/USDJPY」のように逆数にします。1/USDJPYは「1円が何ドルか」を表すJPYUSDと同じ意味になるので、EURUSDなどと同じ向きで比べられます。

1/USDJPYで円をUSDベースにして比較

別の方法として、シンボルの入力時に表示される四則演算のボタンから指定することもできます。

TradingViewの四則演算ボタン

「1/」を使えば1/USDJPYが作れるほか、2つの銘柄どうしの掛け算・割り算なども作れます。

通貨比較の実例

例1:2020年3月のコロナショック

2020年3月9日、新型コロナウイルスの感染拡大で日経平均が2万円を割り込み、円高が急速に進んだ日の比較です(とんでもない相場でした)。

対USDベースの各通貨比較(2020年3月9日)
対USDベースの各通貨比較 by TradingView

通貨ペアごとに価格の水準が違うので、右側の目盛りを%表示にそろえています。

そして重要なのが、いつを起点(0%)にしてその後の変化を見るかです。上のチャートでは2020年の年初を0%としています。

どれも「各通貨/USD」の形なので、0%より上ならその通貨はUSDより強く、下なら弱いと読めます。

  • JPY、CHF、EURはUSDに対して上昇(安全資産として買われた)
  • GBPも上昇傾向だったが、この時点では0%付近
  • CAD、AUD、NZDなどの資源国通貨は、世界経済の先行き懸念で売られた

この局面では、USDも一方的に強いとは言えない状況でした。

例2:2022年のウクライナ侵攻後

下のチャートは、2022年2月から6月下旬までの各通貨の対USDの動きです(TradingViewで公開したチャートで、期間は固定です)。




2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻のあたりを起点にすると、2022年6月下旬の時点では、USDが各通貨に対して最も強かったことが分かります。比較的強かったCADやAUDでも0%を下回っていて、USDに対しては弱い状態です。そして、相対的にJPYが一番弱かった(約14%下落)と客観的に言えます。

このように、起点をどこに置くかで結果は大きく変わります。自分でチャートを作るときは、注目している出来事の日を起点にしてみると、その後の資金の流れが見えやすくなります。

通貨インデックス

通貨ペアではなく、通貨そのものの強弱は通貨インデックスで分かります。TradingViewでは以下のシンボル(TVC:DXY など)で表示できます。

各通貨インデックスの比較(2020年3月)
シンボル 通貨
DXY USD(米ドル)
EXY EUR(ユーロ)
JXY JPY(日本円)
BXY GBP(英ポンド)
SXY CHF(スイスフラン)
CXY CAD(カナダドル)
AXY AUD(豪ドル)
ZXY NZD(NZドル)

2020年3月の上のチャートでは、USDベースのチャートとほぼ似た傾向が見られますが、ドルだけ途中から弱気に転じています。その他の通貨は、ドルの動きにつられているようです。

米ドルインデックス(DXY)の中身

では、この通貨インデックスはどのように決まっているのでしょうか。代表的な米ドルインデックス(DXY)で見てみます。

DXYは、主要6通貨に対する米ドルの強さを表す指数で、ブレトン・ウッズ体制が崩れた直後の1973年3月を基準値100としてスタートしました。現在はICE(インターコンチネンタル取引所)が算出・公表していて、先物も同取引所で取引されています。構成通貨が変わったのは、1999年にユーロが誕生して欧州の通貨がまとめられたときの1回だけです。

DXYの構成比率と、世界の為替取引に占める各通貨のシェア(BIS 2025年調査)を並べると次のようになります。

通貨 DXYの構成比率 取引シェア(BIS 2025年)
ユーロ(EUR) 57.6% 28.9%
日本円(JPY) 13.6% 16.8%
英ポンド(GBP) 11.9% 10.2%
カナダドル(CAD) 9.1% 5.8%
スウェーデンクローナ(SEK) 4.2% 上位10通貨外
スイスフラン(CHF) 3.6% 6.4%

※取引シェアは、1回の取引に2つの通貨が関わるため合計200%で計算した値です。

DXYはユーロだけで6割近くを占め、オセアニア通貨や人民元(CNY 8.5%)は入っていない代わりに、スウェーデンクローナが入っています。50年以上前の貿易構造をもとにした構成なので、いまの取引シェアとはかなりずれていて、「DXYの動き≒EURUSDの裏返し」になりやすい点には注意が必要です。

なお、FRB(米連邦準備制度理事会)も、米国の貿易相手26の国・地域の通貨で加重した独自のドル指数(Broad Dollar Index)を公表しています。こちらはユーロ圏のほか、メキシコ・カナダ・中国などの比重が大きく、実際の貿易に近い形でドルの強さを測ったものです。

通貨ごとの取引シェアについては、こちらの記事で詳しくまとめています。

 

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