アメリカの政策金利はFOMC(連邦公開市場委員会)で議論・決定されますが、その行方を事前に予想する手がかりとして「FedWatch」と「ドットチャート」があります。
アメリカの政策金利
大前提として、政策金利が為替に与える影響は大きいということです。
簡単に言うと、A銀行とB銀行があって、A銀行の利子が0%、B銀行が5%だとすると、
A銀行に預けていた人は預金を引き出してB銀行に移しますね。
利子が高いほうにお金が流れていくわけです。
そのため、各国の政策金利が変わると為替に大きな影響が出ます。米ドル/円であれば、日米の金利差が注目されます。
アメリカの政策金利(FF金利の誘導目標)は、2026年10月時点で3.75~4.00%です。
Reference: TradingView
2008年のリーマンショックまでは政策金利を引き上げていましたが、ショック後は一気に引き下げ、2008年12月には0~0.25%の事実上のゼロ金利となりました。
新型コロナ明けには急な需要の回復と供給不足でインフレが進み、FOMCは2022年3月から急ピッチで利上げを行い、2023年7月には5.25~5.50%まで引き上げました。
その後、インフレの落ち着きを受けて2024年・2025年に利下げしましたが、インフレの再加速を受けて2026年9月には約3年ぶりの利上げとなっています。
| 時期 | 変更 | FF金利の誘導目標 |
| 2023年7月 | 利上げ(最後) | 5.25~5.50% |
| 2024年9月・11月・12月 | 利下げ(計1.00%) | 4.25~4.50% |
| 2025年9月・10月・12月 | 利下げ(計0.75%) | 3.50~3.75% |
| 2026年9月16日 | 利上げ(0.25%) | 3.75~4.00% |
FOMCは年8回開催され、2026年の残りは10月27~28日と12月8~9日です(日本時間では最終日の翌日未明に結果発表)。日程はFRBのFOMCカレンダーで確認できます。
アメリカの政策金利はFOMCで決定されますが、事前予測の手がかりとしてCMEのFedWatchとドットチャートがあります。
FedWatch
CMEのFedWatchツールです。
CMEはChicago Mercantile Exchangeの略称で、CMEグループは
- CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)
- CBOT(シカゴ商品取引所)
- NYMEX(ニューヨーク・マーカンタイル取引所)
- COMEX(ニューヨーク商品取引所)
の4つの主要取引所で構成されているグループです。
このCMEグループが、30日物FF金利先物の価格から、市場が織り込んでいる利上げ・利下げの確率を算出したものがFedWatchです。あくまで「市場参加者の予想」であって、FOMCメンバーの予想ではない点に注意しましょう。
FOMCの開催予定日ごとにタブで選択でき、それぞれの会合後に予想される金利の確率を表しています。
上の例では、据え置き(5.25~5.50%)の確率が97.0%、利上げ(5.50~5.75%)の確率が3.0%でした。
先の会合の予測も出ているので参考になります。
ただし、雇用統計やCPIなどの経済指標、FRB高官の発言で、この確率は日々大きく変わります。たとえば2026年9月の利上げの後、10月会合での追加利上げの確率は、指標の結果を受けて短期間で大きく上下しました。
ドットチャート
ドットチャートとは、FOMCの参加者(理事と地区連銀総裁、通常19人)一人ひとりが、各年末の適切な政策金利の水準を点(ドット)で示したもので、FRBが年4回(3月・6月・9月・12月)の会合で「経済見通し(SEP: Summary of Economic Projections)」の一部として公表しています。
FedWatchが市場の予想なのに対して、ドットチャートは金利を決める側の予想です。
下の画像は2023年6月14日公表のSummary of Economic Projectionsをもとにしたドットチャートです。
これを見ると、2023年末の予想は5~6%台に集中していて(中央値5.625%)、2024年末には中央値4.625%と、利下げを予想するメンバーが増えていました。
実際には2024年末の金利は4.25~4.50%となり、おおむねドットチャートの方向どおりに動きました。
最新のドットチャート(2026年9月16日公表)では、各年末の政策金利の中央値は次のとおりです。
| 時点 | FF金利の中央値 |
| 2026年末 | 4.1% |
| 2027年末 | 4.1% |
| 2028年末 | 3.9% |
| 2029年末 | 3.6% |
| 長期 | 3.2% |
2026年末については、18人のうち12人が4.125%(あと1回、0.25%の利上げ)、4人が4.375%(あと2回)、2人が3.875%(据え置き)を予想していました。
このように、ドットの分布を見ると、メンバーの間でどれくらい意見が分かれているかもわかります。
最新のドットチャートは、FRBのSummary of Economic Projections(2026年9月16日)で確認できます(以降の公表分はFOMCカレンダーのページから)。
ただし、ドットチャートは「約束」ではありません。経済の状況が変われば予想も大きく変わり、2023年時点で予想されていた利下げの流れも、インフレの再加速で2026年には利上げに転じました。
利上げはインフレを抑えるための「ブレーキ」のようなもので、長く続けすぎると景気の悪化や、2023年の米地方銀行の破綻のような金融不安につながることが懸念されます。そのため、FedWatchとドットチャートの両方で、市場と当局の見方の違いをチェックしておくことが大切です。



















