仲値トレードをMT4のEA(自動売買)を使ってヒストリカルデータから優位性について考察してます。
EAによるデータ検証
仲値を利用したトレードについてはこちらで触れましたが
EAを使っての検証の目的は2つあります
- 裁量トレードとして利用する
- 統計的データ、確率として利益になる手法の確認
- EAとして作成できる可能性があるかの検証
1. 仲値買いトレード
2. 仲値売りトレード
3. 買いエントリー時間・売り決済時間
4. まとめ
5. (おまけ)仲値EA
5.1 東京仲値
5.2 仲値の極み
5.3 梓弓_USDJPY
5.4 時間は平等
5.5 ルールメイカー
5.6 東京神話
5.7 アノマリーマスター
仲値買いトレード
MQL4を使って簡単な検証用EAを作成します。
- 設定時間でエントリーして決済
- TP、SLは50pips程度(途中で決済されないように余裕をもって設定)
- 時間差調整、日本時間GMT+9、夏時間、サーバー時間の調整
MT4の時間がGMTそのものでなく+2時間や+3時間(夏時間)というのはどう言うことでしょうか? 結論としては、NewYo...
仲値に向けての買いトレードの検証です。
- 2003/5~2021/5 18年間
- 9:30 買い -> 9:54 決済
- 証拠金100万円、取引は1万通貨単位
総取引 | 勝率 | 損益 | 最大DD | PF |
4368 | 54.42% | ¥250,250 | 3.09% | 1.21 |
年平均で約1万4千円です。
最大ドローダウンが3.09%、30,880円なので証拠金100万は必要でなく
証拠金を少なくするかロットを上げることもできそうです。
Quant Analyzer で分析してみると
ここから推察されることは、
- 2008年以前はこの手法はあまり優位性が無い
- 月の下旬は損失が多い
- 金曜日が利益になりそう(但し毎年そうとは限らない)
仲値売りトレード
仲値からの売りトレードの検証です。
- 2003/5~2021/5 18年間
- 9:54 売り -> 10:30 決済
- 証拠金100万円、取引は1万通貨単位
総取引 | 勝率 | 損益 | 最大DD | PF |
4466 | 55.82% | ¥571,810 | 1.74% | 1.41 |
年平均で約3万2千円です。
最大ドローダウンが1.74%、23,640円なので証拠金100万は必要でなく
証拠金を少なくするかロットを上げることもできそうです。
ここから推察されることは、
- 平均的に優位性がありそうだが最近はあまり利益になりにくそう
- 金曜日が利益になりそう(但し、毎年そうとは限らない)
買いエントリー時間・売り決済時間
買エントリー:
9:30に買いエントリーしていましたが、これを検証してみたいと思います。
MT4のストラテジーテスターでは最適化ができ、パラメータを振って結果を比較できます。
8時~9時代で15分で振ってみたところ、9:15 辺りが利益が出ているようです
9:15買い -> 9:54 決済
総取引 | 勝率 | 損益 | 最大DD | PF |
4471 | 53.59% | ¥298,050 | 2.12% | 1.20 |
買いを15分早めただけですが損益カーブは良くなりました。
売り決済:
同様に売りの終了時間も最適化のテストが可能です。
損益とドローダウンを考慮するとMT4の6:30つまり午後1:30がいいようです
総取引 | 勝率 | 損益 | 最大DD | PF |
4465 | 54.18% | ¥1,135,064 | 2.11% | 1.47 |
利益が倍に増えましたが、これは必ずしも仲値売りの効果だけではないかもしれません。
買い&売り:
この買いと売りは別々の時間なので合体させてみましょう。
総取引 | 勝率 | 損益 | 最大DD | PF |
8932 | 54.11% | ¥1,432,584 | 1.60% | 1.37 |
仲値の買いと売りをうまく利用すると安定的な利益になりそうです
まとめ
以上を検証すると仲値トレードはやり方によってはやはり利益がでそうです。
裁量トレード:
仲値までの買いトレードは9:55前に決済しないといけないのと、その後すぐに売りポジションを持つのは大変なので裁量では難しいかもしれません。売りにのみフォーカスするのもありでしょう
EA:
買いも売りもできそうですが、実はまだ問題があります
- スプレッドを0.3pipsでやっていますが、これに該当するFXブローカーはわずか
- 開始時間と決済時間を最適化しましたが、本来ならウォークフォアードで検証すべきところ簡易的に最適化したのでリアルでの堅牢度が低いかもしれない
スプレッドを10ポイント、つまり1.0pipで検証してみます。
1.5pipsの場合は、
後半以降(2010年)はこのままでは使い物にならないです。
FX業者のスプレッドの違いで利益に大きな差が出る手法になってしまいます。
1.5pipsが使えないと海外FXはほぼ全滅、国内でもMT4を扱っていてEAも使えるところは限られています。
- ゴールデンウェイジャパン:0.1pips但しEAは新規で口座開設者は使えません
- JFX:0.2pips
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- MT4が使えないFX業者で0.2pis程度の業者は他にもたくさんあります
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- OANDA JAPAN:TKYサーバーは 0.3pipsですが1万通貨以上
- NYサーバーはEAはプロコースで0.8pips1000通貨から可能
- 外為ファイネスト:0.4~0.8pips
- 楽天証券(FX): 0.5pips
- FOREX EXCHANGE:0.7pips程度
注意)上記は原則固定などのスプレッドですが、例外なく相場の状況でスプレッドは大きく変化します。なので固定というので誤解してはいけません
(おまけ)仲値EA
具体的に仲値を使った自動売買EAが幾つかります。
以下のEAはGogoJungleから購入可能です
東京仲値
フォワードテストとEA説明から
- 9:30に買い、9:54分に手仕舞い
- 9:55分に売りエントリーで後は何かのロジックで手仕舞い
ポジションが10万通貨でSLが15pipsなので負けたときは-15000円ですが安定的かどうかは微妙ですが右肩上がりです。
バックテストはきれいなカーブではあります。
仲値の極み
こちらは仲値の売買だけでなくゴトー日と金曜日の売買も合わせたものです。こちらもバックテストはきれいな上昇カーブです。
梓弓_USDJPY
こちらのロジックも同様に仲値とゴトー日トレードの組み合わせ
- 5の倍数の日(土日の時は前日)に、9:30に買い、9:54に決済
- 毎日、9:55に売りで当日午後3時に決済
こちらもバックテストはきれいなカーブです。
時間は平等
こちらは仲値からの売りをメインにして、9:55までの買いポジションは
ゴトー日だけのようです。
ルールメイカー
これは仲値トレードだけではなく、様々なテクニカル手法を組み合わせてEAを自分のルールにカスタマイズできるというものです。
一応仲値でのバックテストはきれいな右肩カーブのようですが、フォアードテストはちょっと残念な結果となっていいます。
東京神話
有名なカイベ氏のEAで説明では
「ゴトー日など、仲値トレードの優位性がある日にトレードを行います。
深夜のなるべく安値で買いポジションを仕込み、仲値付近の高値で決済する、
買いロジック。
仲値付近の高値で売りポジションを仕込み、なるべく安値になった所で決済する、
売りロジック。
2つのロジックで取引回数アップとパフォーマンスの平準化を図り、ロジックの
ロバスト性を担保します。」
結果はどうあれでしょうか
アノマリーマスター
こちらは特にトレード方法には言及されていませんが
USDJPYで9:55からの売りが多いので明らかに仲値からの売りトレード方法を中心としています。